Mechanic’s Eye|12
「まだ息はある。」
埃をまとったMAZDAの刻印。
止まった時間の上に、薄く積もった履歴。
触れると、指先にザラつきが返ってくる。
錆はゆっくりと進行し、ホースのゴムは硬くなり、金属は“待つこと”に疲れかけていた。
それでも——
キーを捻った瞬間にわずかに震え、
次の瞬間、深く眠っていたロータリーが
かすかに息を吹き返した。
「まだ走れるか?」
不動車とはいえ、完全に終わったわけではない。
火が着いた以上、まだ救える。
まだ“自分の役割”を覚えている。
これから配管を洗い、錆を落とし、
固着したボルトを一本ずつ解き、
手を入れた分だけ確かに戻ってくるはずだ。
ここからが本番だ。

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